事業の実施にあたって
(1)関係機関との連携について
- 過去の事業に置いて、事業者と対象文化財所有者及び管理者(以下「所有者等」という。)との間で合意や協力体制が構築されていない事例が見受けられました。申請者が所有者等でない場合には、所有者等より同意を事前に得るとともに連携して事業を進めるための体制を整える等の対策が必要です。
- 訪問先ごとに、旅行者自身のスマートフォンやタブレットで異なるアプリをダウンロードしてもらうことは旅行者からすると使い勝手が悪いことになります。また、同様に同じエリアの文化財施設については、整備媒体(例:QR コード付看板、アプリ、AR/VR 等)や対応言語を統一することが望ましいです。そのため、事業の申請にあたっては、地域の DMO や観光協会に事前に相談をする等、なるべく統一感のある整備が必要です。なお、地域の DMO や観光協会と密接に連携して事業が進められている事例では、媒体整備後の活用方法が明確になっており、告知についてもスムーズに行われているケースが多くあります。
(2)外国語での解説について
(3)整備媒体等について
- Wi-Fi 環境が整っていない場所では、Wi-Fi 環境を必要としない媒体(NFC タグ等)の活用が有効です。
- アプリのダウンロードやコンテンツへのアクセスに時間や手間がかかるものは使用者にストレスを感じさせます。また、外国人観光客は、必ずしも日本で自由に使えるスマートフォンやタブレットを持っているとは限らず、加えて、セキュリティーの観点からアプリをダウンロードすることを避ける場合があるため、アプリのダウンロードを必要としない媒体の活用や公式アプリであることが分かるようにする等の工夫が必要です。
- 先端技術/機器の導入が最優先となり、整備した媒体(AR や VR 等)が、対象文化財・コンテンツにふさわしくないものにならないよう注意が必要です。まずはシンプルで使い勝手の良いものを整備し、その後、高い技術のものを導入する等ステップアップしながら整備する方法も有効です。
(4)その他
- 媒体の整備にあたっては、観光客の導線上に設置することが必要です。
- 対象コンテンツが単一のもの(1つの文化財だけ、1つの寺社だけなど)ではなく、複数かつ多岐にわたる場合、ストーリー性のあるものは、訪日外国人観光客にとっても興味深く感じられます。
【事業実施のイメージ】
① 交付決定
② (外部委託等する場合)契約手続
※業者選定手続きは、資産が所在する都道府県の会計規則に準じること。
③ 多言語解説文の制作
※観光庁指針を参照して制作。
- 執筆者、編集者、校閲者、内容監修者を確保した制作体制の確保。
※観光庁の「専門人材リスト」の活用を推奨
- 解説文を掲載する媒体特性を考慮して制作。
- 魅力的な多言語解説作成指針、スタイルマニュアルを踏まえる。
④ 多言語解説文を踏まえた媒体制作
※解説板を制作する場合には、編集デザイン指針等を記載している、文化庁作成「文化財の多言語解説案内板の制作指針」を踏まえること。
※VRを制作する場合には、文化庁作成「文化財の観光活用に向けた VR 等の制作・運用ガイドライン」を踏まえること。
※解説文制作の校閲者は、制作した解説文が正確に解説板等の媒体に反映されているかを確認すること。
⑤ 本事業事務局の確認
※多言語解説文がスタイルマニュアル等を踏まえているかを確認、解説板を制作する場合等が、文化財の多言語解説案内板の制作指針等を踏まえているかを確認。
⑥ 媒体完成
※成果物を公開するとともに、文化庁へも納品する。
※媒体の完成まで、事務局から定期的に進捗確認を行う予定です。
審査及び審査結果
応募書類に基づき、審査を行った上で内示額を通知します。審査は、下記の視点により総合的に評価します。
なお、英語以外の複数の言語制作を行うことが望ましく、中国語を制作する場合には優先的に採択することとします。
前年度の「観光振興事業費補助金交付要綱第1章第2条二」に基づく指定市区町村に所在する国指定等文化財を整備する場合にも、優先的に採択することとします。
本募集案内に記載の要件を満たしたとしても、予算上の制約や費用対効果の観点から採択されない場合もあります。また、減額される場合もあります。
○確認の観点の例:
- 効果の評価指標や目標値等は適切に設定されており、本事業の趣旨・目的に沿った高い効果が見込めるか。
- 資金計画、経費の積算内容、及びスケジュールが適切であるか。
- 活用する先端技術等の導入目的が明確であり、高い効果が見込める発信等の内容となっているか。
- 英語解説文制作にあたっては、観光庁指針に沿った制作計画になっているか。また、英語以外の複数の言語を制作しているか。
補助金交付申請書の提出
採択が決定した事業者等は、採択条件等を踏まえて、補助金交付申請書を提出します。
文化庁(委託事業者)において再度確認の上、内容が適切と認められた場合に補助金の交付決定を行います。
交付決定された補助事業の取扱
本補助金は、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和30年8月27日法律第179号)及び「同法施行令」(昭和30年9月26日政令第255号)の適用を受けます。本補助事業に応募される事業者においては、下記に御留意ください。
(1)補助事業の実施内容が実施計画や交付決定の条件と著しく異なっていると認められる場合、補助事業実施期間中においても、交付決定を取り消す場合があります。補助事業期間終了後も、会計検査院の検査や文化庁による執行状況調査の対象になるとともに、検査・調査の結果によっては、補助金を国庫に返納させる場合があります。
(2)補助金の不正受給等を行った場合、加算金を付して補助金を返納するだけでなく、「芸術活動支援等事業において不正行為等を行った芸術団体等の応募制限について」(平成22年9月16日文化庁長官決定)を準用し、応募制限を行います。
(3)補助事業で作成される媒体(看板・アプリ等)には、文化庁シンボルマーク(https://www.bunka.go.jp/bunkacho/symbolmark/)及び本補助事業名等を掲載していただきます。
(4)著作権の取扱いについて
- ①補助金により作成した成果物(多言語解説文、動画等コンテンツ等)の著作権は、文化庁が訪日外国人観光客誘致のために発信する「文化遺産・観光コンテンツバンク」に格納するため、文化庁と共有にさせていただきます。そのため、事業者から成果物を当庁へ納品していただくこととします。なお、制作した媒体が動画である場合には、可能な限り以下の要件を満たした媒体で納品いただくようお願いします。
- MP4、MPEG4、MOV等のWeb上でもストレスなく閲覧できる一般的な形式かつHD: 1080p(1,920×1,080)以上の高画質の映像データをDVD又はブルーレイディスクに格納して納品すること(4Kが望ましい)。
- また、タイトル、内容、二次利用のための条件(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス等を明記)及び権利許諾等の連絡窓口をテキストファイルで格納すること(可能な限り許諾不要で使用可能とすること)。
- ②また、提出された成果物における画像等について、本事業の広報や募集等に関するウェブサイトに掲載する場合や、文部科学省及び文化庁が開催する会議等で本事業の紹介の資料として使用する場合がありますので、あらかじめ御了承ください。
- ③なお、制作した多言語解説文については、①のとおり著作権は当庁と共有といたしますが、事業者において、解説文の一部又は全部を一字一句変更せずに利用する場合、当庁への通知は不要です。
参考資料
本補助事業に係る以下の法令等を「募集案内(PDF:492KB)」の「7 関係法令等」に記載していますので、応募に当たっては、事前に必ず熟読してください。
- ○補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
- ○補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(抄)
- ○文化芸術基本法(抄)
- ○芸術活動支援等事業において不正行為等を行った芸術団体等の応募制限について(平成22年9月16日文化庁長官決定)
また、併せて、VR映像等の作成にあたっては、以下のガイドラインを参照の上作成ください。